「おもちゃの病院」に、想い出の人形を治して欲しいというお客様がお越しになりました。人形は、昭和5年頃、初節句の際、持ち主のお父様が購入されたもの。
はずれてしまった左足と、とれてしまった頭髪を元通り取り付けて欲しいというのが、ご依頼でした。
修理に携わったのは、3名のおもちゃドクター。
とれた左足を固定させたり、無くなったリードをスピーカーのフィルム部分で作成して“泣き笛”を蘇らせたり、頭髪も元通りに接着し、開いた人形の洋服(背中部分)を縫合して仕上げました。
治った人形を持ち主にお返しすると、とても感激されました。
今回、来院されたのは、埼玉県にお住まいのお嬢様が、鳥取に帰省した際、お母様のタンスにしまっていた人形を見つけ、インターネットでわらべ館のおもちゃの病院の取り組みを知ったのがきっかけとのこと。
「人形を買った他界している私の祖父も喜んでいると思いました。昭和の初期、鳥取のお店で我が子の人形を選んでいる祖父、喜ぶ母 の幼き姿。モノクロスクリーンを見てるように蘇りました。
『来年のおひな祭りには、私のおひなさんとお母さんの人形を飾ってお祝いをしましょう』と約束しました。3月3日元気になった人形と再会するのをすごく楽しみにしています。ちらし寿司、はまぐりのお吸い物、ひなあられも用意しましょう。」
後日、埼玉県のお嬢様からは、このようなメールもいただきました。
想い出の人形が“想いをつなぐ人形”となり、みなさんの笑顔に、おもちゃの病院ボランティアもあたたかい気持ちになりました。これからも大切になさってくださいね。
S・Y
|
修理前 |
|
修理後 |